せいわやは週2、3回しか営業していないけどほかの日は何してるの

せいわやは週23回しか営業していないけどほかの日は何してるの?営業日にショーケースに並ぶパンたち。ズラリと整列するのは、製造過程においてほんの一瞬でしかありません。仕込みにほとんどの時間をかけています。自家製酵母パンが形になるまで最低3日かかります。

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日目は酵母の用意。パンにする力をつけさせなければなりません。使う酵母は複数あり(レーズン酵母、ルヴァンシェフ、ライ麦サワー種、ホワイトサワー種など)酵母に合わせたつなぎ方をします。酵母の種類によっては、3日間かけて発酵力をつけるものもあります。個人的にルヴァンシェフは酵母の状態がつかみにくく、難しい酵母だと感じています。パン生地に使用するまでに、2段階法で種つぎをして仕上げ種(ルヴァン・トゥ・ポワン)にしておくのが失敗が少ない気がします。

ルヴァンを中種法にすればお世話の回数が少なくなり、私が楽になれるのでは?とも思いますが、ルヴァンを長時間低温発酵させるから生まれる味があるわけで日々パンを焼きながら試行錯誤中です。

ホワイトサワー種もライ麦サワー種の仲間ですが、強力粉でつなぐタイプの酵母をホワイトサワーと呼んでいます

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日目は生地の仕込み。粉、水、酵母、塩を軽くミキシング。オートリーズとよばれる水と粉を馴染ませる時間をとったあと、本格的にミキシング。生地にあわせてパンチをいれ、1218時間の長時間低温発酵をさせます。生地と酵母をながく触れあわさせるほど香り、風味の副産物が生まれます。ハード系の生地を短時間で焼くと味気なくなるのは副産物が少ないためです。

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日目に焼成し、皆さまのもとへ。

3営業日の場合、休みはありません。週2営業だとちょっとゆとりが持てるのでホッとします。スコーンやベーグル生地は冷蔵庫で寝かせた方がプラスに働くので、休みの日を使って多めに仕込みをすることもあります。

休みがないほど大変である、と言いたいわけではありません。

むしろでも、休みが取れないのは恥なのです。私の努力不足だからです。休みがない、余裕がないと嘆くのではなく、休みがないならどう動くべきなのか?を考えなければなりません。現状、休みがないのは行動できていない、ということ。恥をあえて書き残し、自分を戒めたいのです。

いちばん手間がかかるのは、自家製酵母。まとめて用意しておき、冷蔵庫に保管して使用するのはどうか。しかし、たとえ0℃以下の環境に置いたとしても、日にちが経つにつれて、phと乳酸・酢酸量が変化するデータはすでにあります。自家製酵母でパンを失敗なく焼くには、新鮮で状態のよい酵母を早く使い切ること。多少変化した酵母を使っても問題ないかもしれませんが、お客さまにお届けするパンに使用するのはリスクがあります。

自家製酵母のパン屋はやることが多い。そういう職種なので仕方ありません。その環境下の中でいかに効率よく、自分が楽にでき、休む時間を確保しながらいいパンを焼けるかは、脳内でアイディアをこねくり回し、工夫し、行動と修正をくり返す。やはり私の努力次第なのです。