パジャマ姿で布団に入り、枕元に置きっぱなしにした本をとる

パジャマ姿で布団に入り、枕元に置きっぱなしにした本をとる。文字の羅列を読み、情景を思い浮かべる。書き手の芸術に感動する。心が動いたまま眠る。朝起きたらすぐに工房に行く。身なりを整えるのは最低限で自分の食事も後回しでいい。身体さえ行けばいい。

 

寝る前は小説を読むようにしています。営業が続く日々は2、3行あたりで眠ってしまうけれど、まとまった時間がある今。何ページも読むことができて有難いと思います。

 

パン屋をしていると時計の針が早送りで動いているかのようで、私は回し車に乗ったねずみように走り回っている。何かを見て感動をしたり、日常の些細な物事を愛しんだり、心穏やかな気分になる隙はあまりない。

 

文字の羅列を読む作業は、作り手としての精神を維持するために自然としているのかもしれません。飾り気がなく寂しい日々に一輪のバラを飾るように、固まった日常にあえて”彩”をつけなければいけない気がしています。

 

作り手がつまらないと思えばつまらないものができるし、楽しんで作れば楽しいものができて、躍動感に溢れていたら力強いものができる。

 

たとえば私の心が死んでいるなら、誰かのためにものを作る土俵にさえも立てられていない。

 

 

 

新年から心が痛む知らせが続いています。

被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げるとともに

ご遺族の皆さまにはお悔やみ申し上げます。

心と身体の平穏。普段の日常が一刻も早く取り戻せますよう

心からお祈りいたします。