せいわや

千葉県船橋市の住宅街で自家製酵母のハードパン・ドイツパン専門店を営む傍ら、農業をしている店主の備忘録です

独学でパン屋開業せいわやのこれから 自家製粉×農業×カフェ

独学でパンを学び、自家製酵母のハードパン・ドイツパン専門店せいわやを開業してから1年7ヶ月が経ちました。

開業当初と比べると、小さいながらにも少しずつお店の形に変化がありました。

<開業当初>
営業日 火・木・土
営業時間 11:00〜17:00
スタッフ人数 0名
メニュー ハードパン・ドイツパンのみ計10〜13種

<現在>
営業日 金・土
予約販売・通販 水(オンラインでのご注文のみ)
営業時間 16:00〜売り切れ次第終了
スタッフ人数 3名
メニュー 焼菓子2〜3種/ハードパン8〜10種 /ドイツパン1〜3種
その他 整理券制導入

これで終わりではなく、新しい挑戦をして変化させていきたいと思っています。

頭の中の構想をつらつらと。

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目次

2024年10月石臼挽き製粉機を導入 自家製粉のパンを焼く

2024年10月に石臼挽き製粉機を導入します。なぜ石臼挽き製粉機なのか。挽きたての粉でパンを焼いて食べてみたらその美味しさに驚いたのが、導入を決めた大きな理由です。稲妻に打たれたような衝撃だったのです。

石臼挽き製粉機を導入して何がしたいのか。全粒粉100%の自家製酵母パンを焼きたいのです。そのためには酸化していないフレッシュな粉は必須です。

全粒粉には油脂が多い胚芽を含んでいるため、酸化が早いとされています。また、製粉時に熱が加わると酸化が早まる要因と言われています。実際に製粉から時間が経過した全粒粉を使い、全粒粉100%のパンを焼いて食べてみたところ雑味があり、するっと喉を通らない。妙に引っかかる味わいなのです。

これらの問題を解決するには、

  • 挽きたての粉を使える環境を作る
  • 熱を抑えながら製粉する

が必要になるのですが、結論「石臼製粉機を導入する」でした。

挽きたての粉を使える環境を作る →工房に製粉機を設置する

製粉時にかかる熱を抑える →石臼製粉機でゆっくり挽く

2024年3月、石臼製粉機の会社に視察に行きました。玄麦を持ち込みテスト製粉させていただくと、1時間に1kgペースの速さで製粉すれば、ふすま感も気にならずきめ細かい粉が挽けることが分かりました。

ルヴァン種で長時間低温発酵させ、全粒粉100%のパンにしてみたところ味わいは申し分なし。というより、過去最高に美味しいかもしれない。全粒粉と謳っていいのか疑問に思うくらいに食べやすく、湯種も必要ないくらい吸水率もよかったのです。

試作メモを見返すと、吸水率は100%でした。小麦の品種にもよるでしょうが、もう少し水は入りそうでした。お客さまの元に渡った後のことを考えると湯種を10〜20%加え、長くストレスなく食べてもらえるように保水性を添加してもよいのかなと思います。

視察後、補助金の申請〜承認まで数ヶ月時間を要し、現在は発注完了済み。納品を待っている状況です。

パンを焼ける人材を育てる

製粉を始めるとなれば、新たな業務が加わることになります。製粉量が増えば日頃の業務を圧迫する。となれば、私がそちらに回れるように身軽でいなければなりません。

例えば朝の焼成の一部分をスタッフに任せ、その間に製粉にまわる、という流れがいいのではと考えています。

現状の仕込み量・焼成量を昨年までひとりでやっていましたので、やれなくはない。ただし長期的にみると体力的・精神的にも厳しくなってくるでしょう。やはりスタッフがいるのといないのとでは、雲泥の差があります。

仕込み・焼成をひとりでこなすと現状維持が精一杯。発展させるとなれば身体を犠牲にしなければなりません。休み返上、睡眠返上して行う仕事はいつか頭打ちになり、いい商品も生み出せなくなる。

長く続ける、持続させるのを念頭に考えると「せいわや」というチームを作り、チームとして運営していくのが今後必要なのではと考えます。「私」という個人は、そろそろ後ろに下がる時なのです。

まずは製粉に慣れるのを第一に。通常の業務に製粉を組み込み、週1回限定などで自家製粉のパンを焼き、販売するのを目標としてみます。

農業×パン屋ができないか

2024年6月頃から50坪の畑を借り、作物を育てられる環境を作っています。雑草が生い茂る土地を機械を使わずに手作業で農地化させている最中です。

作物を育て豊作に…という未来はまだまだ遠そうですが、小麦、ライ麦、野菜の種を発注しました。小麦、ライ麦はいずれ自家栽培したものを自家製粉し、商品化するための第一ステップです。まずはお遊びから始めてみよう。

製粉はできるとして脱穀はどうするの?という問題もありますが、やりながら考えるとして、とりあえず植えてみます。

自家栽培の野菜、果物を使ったサンドウィッチなんかもいいと思うのです。

<余談>種って勝手に植えて育てていいの?

種を勝手に植え、育てて何か法律に引っかからないのだろうか。種苗法が改正された話をどこかで見たので、農林水産省HPで調べてみました。

  • 登録品種のみ規制される
  • それ以外の品種なら自由に育ててよい
  • ただし登録品種であっても自家消費を目的とした家庭菜園レベルであれば問題ない

とのこと。

ざっと調べてみると、日本国内でお金と時間をかけて研究開発された作物を海外で悪用されないための法律、という印象を受けました。登録品種でなければ気にする必要はなさそうです。

育てたい作物が登録品種かどうかを検索するには、農林水産省にあるこちらのページをご参照ください。 品種登録ホームページ:農林水産省

各都道府県別の登録品種をこちらのページで閲覧もできます。 各都道府県において主に栽培されている品種:農林水産省

参考文献
種子や種苗の「自家増殖」はどこからが違法?【連載・農家が知っておきたい「知的財産」のハナシ vol.12】

改正種苗法のQ & A(農林水産省HPより)

種苗法の改正について(農林水産省HPより)

カフェ的なことをしたい

せいわやで焼いた自家製酵母パンを使ったカフェ的なことをやってみたいな、という気持ちはいつも頭の片隅にあります。

実行に移せていないのは、

  • コンセプトが固まりきっていない
  • 人材不足
  • 店舗が飲食に向きにくい構造→円滑な営業の流れがイメージできない

が主な理由です。

水曜日の予約販売・通販、金・土の営業をくり返すだけで精一杯なのもあり、一体どこにカフェ要素を入れるんだ!

まずは月1回の単発から初めてみようかと計画中です。 パン呑みもいいですよね。