せいわや

千葉県船橋市の住宅街で自家製酵母のハードパン・ドイツパン専門店を営む傍ら、農業をしている店主の備忘録です

大慌ての紅はるか収穫 ほぼ無肥料でも育ったワケ

ドイツ製石窯オーブンで60分じっくり加熱する。ホイルには包まない。30分たったら天地を返し、また30分。徐々に甘い香りが工房中を埋め尽くしていく。タイマーが鳴り様子をうかがいに。指の腹で優しく触ると抵抗なく柔らかくなっている。蜜があふれている。

10月中旬。秋の味覚のころ。我が畑に埋まっているソレは、出番がいつか、いつかと待ち望んでいるよう。

定植から約5ヶ月で大きな紅はるかに

5月中旬に定植した紅はるか。そろそろ涼しくなってきたし、試し掘りをしてみるか。まだ10月中旬だから掘り時ではないでしょうけれど。

長く絡んだツルを鎌で切りながら根本を見つけると…。

あきらかに大きそうなソレの頭が出ている。いやー大きい。肥大し過ぎても困るぞ。今週の疲労がまだ抜けきれていない。腰に不安がある。が、出たがっているようだ。

さて、掘りますか。

Lサイズがごろごろと。ありがたい。

土を掘りながら何を作ろうかなと考える。スイートポテトパイとか美味しそう。追熟させて甘くなったところでオーブンで焼き芋にして、トロッとさせたのをフィリングに。市販のパイシートは使わずに手折りパイ生地がいいなぁ。

有機薄力粉と石臼挽きした全粒粉をあわせて、バターはグラスフェドで。パイ生地を作ったらフィリングを包み、丁寧に模様を描いて溶き卵を塗ってパリッと焼きたい。

手作りって時間も労力もかかるけれど、その分美味しくなるし、唯一無二になれる気がします。

掘りました。何キロあるのでしょう。ものすごく重たい。腰がやられそうです。10本の苗からここまで育ったのだから、100点満点。

大きな芋はいくつか割れていました。割れについて調べると急激な生育変化が大きな原因(乾燥→大雨)とのこと。

自宅に持ち帰り天日干し。乾いたら室内の暖かい場所にうつして追熟させます。

かっこいい写真を撮ってもらいました。

無肥料でも大きくなったワケ 化学肥料に頼らなくてもいいのかも

「芋は痩せた土で育つと言うけど、化学肥料を与えないと肥大せず、筋張って食べられたもんじゃない」

という話をどこかで耳にしていました。

化学肥料を与えないどころか有機肥料すらほとんどなし。なのにここまで成長できた理由はどこにあるのでしょうか?

以下、個人的な考察です。

⚫︎2年ほど放置された畑。地力がついてそのパワーで生育が発達した。

⚫︎前の借主の化学肥料が残っていた可能性。

⚫︎もみ殻くん炭をまいた▶︎わずかにカリウムが含まれている。とはいえ、定植時にほんのわずかに。

⚫︎コンパニオンプランツとして枝豆を植えたのがよかった▶︎枝豆の根粒菌が空気中の窒素を取り込んで窒素固定させる。さらに根粒菌が土壌の微生物を増やし、土の有機物からカリを溶け出しやすく、使いやすくする。

⚫︎定植前にクリムゾンクローバーを植え、すき込んでいただめ生育がよかった▶︎クリムゾンクローバーは枝豆と同じくマメ科。同上の働きをもたらす。

⚫︎日常的に雑草を刈り、草マルチとしていた▶︎分解の過程で微量のカリウムを土に供給

化学肥料や有機肥料を使わないよい点は、重たいものを運ばなくていい。肥料をまく量を考える必要もない。単純にコストを抑えられる利点もあります。

一方で自然の力に頼って育てるなら、コンパニオンプランツを植える場合、その分場所をとられる。サツマイモの定植量が減る=収穫量が減るのは欠点です。緑肥を植えるならスケジュールも考えなければなりません。一長一短ですね。

来年同じ場所で育てたとして今回のような成果が出るかは分かりませんが、一度データがとれましたので、また来年試してみたいと思います。